[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2851]

資本主義のエンジンとしての社会福祉

みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

メルマガでも何度か登場してもらったことのある、数年前からお付き合いしている大学教授
とゆっくりお話する機会がありました。
その教授は社会学が専門であり、私が取り組んでいるショッピングリハビリだけでなく福祉
全般(介護・障がい)に対しても私たちとは違った視点で考察されます。
今回テーマとなったのは「現役世代の負担」について。
大きな気づきを得て、そして反省しました。

それでは本日のメルマガです。

──────────────────────────────
■■
■■資本主義のエンジンとしての社会福祉
■■
──────────────────────────────
◆その教授と様々な意見交換をする中で、私が福祉業界に関して何を課題と感じているのか
について話が及びました。
その一つとして、高齢者の医療や介護にかかる費用が現役世代の大きな負担になりつつある
ことについて考えを述べたところ、教授から「言いたいことは理解できる。ただし“負担”
という言葉はミスリーディングなのではないでしょうか。」との指摘を受けました。
そして、教授から次のような考え(見方)をお聞きしました。

『福祉社会学では“資本主義のエンジンとしての社会福祉”ともいわれており、高齢者が消費
することが消費社会である現代社会では社会を支える活動になっているのです。』

◆その後のやりとりで私なりに理解したのは以下の通りです。
・高齢者が医療や介護サービスを利用することで、お金が使われる。
・このお金の流れは、ただの“負担”ではなく実は社会全体において経済を動かす重要な役割
を果たしている。
・つまり、高齢者がサービスを利用することで医療や介護の仕事が生まれ、その結果、多く
の雇用が生まれている。
・これも消費活動であり、経済の活性化に繋がるものだ。
さらに教授の話は続きます。
・問題なのは、その消費があまり楽しい消費や価値のある消費になっていないことなのでは。

◆メルマガでも予防の重要性や必要性について度々触れ、また日頃から業界内外で発信する
機会も多くありますが、いつの間にか思考が固まっていたのでは・・・と思わされます。
選挙が続く中で政治家やコメンテーターの考えを見聞きする機会も増え、自分なりに未来へ
の危機意識を考えているのですが、改めて視野・視座を広げることの必要性を感じます。
医療や介護への支出を消費と捉えれば、それが社会で循環されないことのほうが問題です。
また私の考えを進めるのであれば、高齢者が楽しみや価値を感じられる消費についてもっと
考えるべきです。

◆最後に、一連のやりとりを総括して教授から受けた助言を紹介して終わりにします。

『福祉業界に限りませんが、議論を“生産社会的常識”にもとづいて展開するだけではなく
“消費社会的常識”に基づく形に転換することも必要ではないでしょうか。』

——————————————————————————————
いつの間にか(自覚はありませんでしたが)健康であることを社会参加の条件とするよう
な思考になっていたのでは。。
高齢者・病者・障がい者がそのまま行う社会参加について思考が停止していたのでは。。
社会的課題に対して上から目線になっていたのでは。。

私のレベルで恐縮ですが、大きな気づきを得たので、採り上げさせていただきました。