[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2833]

マイナカードで効率化

みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

今年3月、厚生労働省は介護保険サービスの利用者がもっている紙の介護保険証の機能の一部
をマイナンバーカードと一体化させる検討を始めることを発表しました。
現状は各種手続きの際に保険証を地方自治体の窓口に(原則は)持参しなければなりません。
マイナカードにより手続きをオンラインで完結できるようにして利用者の利便性を高め、そし
て自治体の業務効率化も実現するとされており、2024年度にも運用を始めたいとのこと。
つい最近も厚労省から進捗発表があった本件、採り上げてみたいと思います。

それでは本日のメルマガです。

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■■マイナカードで効率化
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◆ご存じの方も多いかと思ますが、介護保険サービスを利用する場合、現在は要介護認定の
申請やケアプランの作成依頼などで紙の保険証を使った手続きが必要です。
マイナカードは、それらのうち多くの手続きを効率化することが期待されています。
その一部を紹介すると以下の通り。
・要介護認定の申請や通知
・ケアマネジャー事業所名の届け出
・ケアプランの作成依頼や提出
・主治医の意見書情報の取得
・介護状態やサービス内容の変更届 他

◆先日行われた社会保障審議会介護保険部会でも改めて議題として採り上げられています。
その議事録によると、マイナカードを持っていない高齢者について介護保険の利用者である
ことを記載した書類を別途交付する方向で検討するとのこと。
厚労省は当初、24年度から順次介護保険証の機能をマイナカードで使えるようにする方針を
示していましたが、紙の介護保険証の廃止を打ち出すのは初めてのことです。
「高齢者にオンライン手続きなんて無理だ」
「まだマイナカードを作っていない人も多い」
「メリットが良く分からない」
そんな声も聞こえてきます。
効率化という点がアピールされるばかりで利用者メリットを含めて十分に説明されていない、
そもそもマイナカードをめぐる政府の取り組みが一枚岩ではないなど問題も多いのですが、
導入は時代の要請、必須だと感じます。

◆現在の介護業務現場のことを考えてみます。
介護の状態や受けるサービス内容に変更があれば都度、自治体の窓口に問い合わせ保険証を
修正してもらう必要があります。
要介護認定を受けた本人や家族が行うものですが、実際にはケアマが手続きを代行すること
が多く、業務の負担になっているのではないでしょうか。
ケアマネが主治医の意見書を必要とする際も自治体の窓口に問い合わせますが、ケアマネと
同様に自治体職員にとっても事務負担であり、依頼が集中すれば手続きに時間を要し、結果
としてサービス提供が遅れる(利用者のデメリット)ことも多々。

◆介護業界では人不足が深刻な状況にあり、ヘルパーだけでなくケアマネも同様です。
一方で行政(市町村役場)は「なんでこんなに人数がいるの・・・」と。
時代の要請と書きましたが、これからの業界を考えても私たち自身が率先して効率化を推進
していくべきだと考えます。
高齢者には無理と言いながら、実は私たちが苦手意識や抵抗感を持っているのでは?
この推進のカギを握るのは実際に業務に追われている、そして日ごろから高齢者に接している
私たち業界の人間です。

◆勝手なことを書きましたが、実際には具体的な利用イメージや、それによる効果など具体的
な提示も十分ではなく、議論が始まったとの情報しかありません。
先行する医療分野では24年12月に現行の健康保険証を廃止してマイナ保険証に切り替えるこ
とが決まっていますが、5月時点で利用率7%台と低迷している様子、そういった状況から不安
を抱く人も少なくないのかも知れません。
今後、関連する情報が出はじめることと思います。
いずれ私たち全員に関わることであり、利活用することを想定しながら注目していきましょう。

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マイナカードの件に限りませんが、政府が推進するデジタル化の中身、その発表・説明をす
る大臣、もう少し分かりやすくならないものでしょうかね。
先行する他国に学ぶこと、民間専門家の積極登用、そしてデジタルに詳しい人からの説明、
お願いします!

本日もありがとうございました。