[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2804]

とてつもない失敗

みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

今週・来週と、これまで読んだ本をもとに“失敗”についてとり上げてみたいと思います。
できれば経験したくないし、目にしたくもない言葉ですね。
成功に関する情報には目や耳が向きやすいのですが、失敗となると・・・
成功に学ぶことと同様に、失敗に学ぶことの重要性は言うまでもありません。

それでは本日のメルマガです。

──────────────────────────────
■■
■■とてつもない失敗
■■
──────────────────────────────
◆本日のメルマガタイトルは、2019年に出版された『とてつもない失敗の世界史』という本
から抜き出した言葉です。
https://amzn.to/4caCcCg
著者はロンドン在住のジャーナリストで、数年前に平積みされていたものを購入しました。
これまで人類が繰り返してきた様々な大きな失敗を、ユーモアを交えながら紹介する本。
「そんな馬鹿な!」「ナンセンスだ!」
笑い飛ばしてしまいたくなる大きな失敗の数々ですが、冷静に考えれば他人事ではない。。
余談ですが、読書って読み手の感情や読み方に左右されるんですよね。

◆書かれている“とてつもない失敗”のうち、1950年代に中国で起こった実例を紹介します。
当時の毛沢東政権下で、増え続ける人口を維持すべく農業大国を目指すため行われた『四大
害虫駆除運動』について。
この四大害虫とは、蚊、ハエ、ネズミ、そしてスズメです。
他は何となく理由が想像できるもののスズメはどうして?と思ってしまいますが、収穫期の
田んぼ(米)を荒らす悪者として嫌われたようです。
人民が口にするべき米をスズメが食べており、それを駆除することにより10万人単位で人民
の食糧難回避に繋げられる。
そのような進言が政府内で(根拠は分かりませんが)具体的数字とともになされ、害虫指定
されてしまったそうです。

◆政府の号令のもと、あらゆる手段をもって全国民が一体となって害虫駆除を実施します。
当時の様子は(悪意をもって書くのではないですが)熱狂的だったようです。
そしてそして、これも根拠があったのかどうか定かではありませんが、中国政府が発表した
駆除運動の“とてつもない”成果は以下の通りです。
・蚊   100万kg
・ハエ  10万kg
・ネズミ 1億5千万匹
・スズメ 1億羽

◆余談ですが、空を飛ぶスズメをどうやって捕まえたと思います?
もちろん他手段もあったのだと思いますが、本で紹介されていたのは
「スズメを見かけた人が石を投げつけたり追いかけたり、そして逃げた先でもまた別の人が
石を投げつけたり追いかけたり。それを繰り返すうちに飛ぶ体力を失ったスズメが落下し、
そして捕獲する。」
当時13億人の民が一斉に行った駆除作戦。
信じるか信じないかは、あなた自身です。

◆想像した方もいらっしゃるでしょうが、この話には続き、というか顛末があります。
見事に四大害虫の駆除に成功した中国は、1959年から1962年にかけて大飢饉に襲われます。
もちろん複数の要因が重なって起こったことではありますが、専門家が分析した大きな要因の
一つが何と「スズメが減ったこと」だったと言うのです。
生態系が崩れ、それまでスズメが餌として駆除してくれていた害虫が大量発生したのだと。
何とも皮肉な事実ですが、実際に中国は未曾有の大飢饉という史上最大級の苦痛を経験する
ことになるのです。

◆半世紀以上経って過去の記録として本を通じて知るだけの私には、当時の実情を深く知る
ことはできません。
決して肯定や支持をするのではないですが、運動を指揮した当時の政府のことだって簡単には
笑い飛ばせません。
政府組織内の報連相体制がどうだったのか、引き起こす結果は誰も想像できかったのか、意見
や進言しやすい環境はなかったのか、トップは聴く耳を持っていたのか、などなど。
(何となく想像はできますが)
とてつもない話ではありますが、マネジメントという観点で気づかされることもありますね。

——————————————————————————————
故野村克也さん(プロ野球選手、監督、評論家)の良く知られた名言。
『失敗と書いて、成長と読む』
『勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし』
これらに共通するキーワードは“認めること”ではないかと思うのです。
この辺り、来週に持ち越します。
次回は戦時中の日本軍の失敗に関する本をとり上げる予定です。
改めて読み返さないと(汗)

本日もありがとうございました!