[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2755]

70歳が老化の分かれ道

みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

タイトルの「70歳が老化の分かれ道」は、高齢者専門の精神科医である和田秀樹氏によって
執筆され、2021年に出版された本です。
70代の過ごし方がその後の老化の速度や寿命まで影響を与えると指摘するこの本、介護予防
事業を取り組むものとして興味を持ち、手に取りました。
久しぶりに本の紹介です!
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■■70歳が老化の分かれ道
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◆私たちが子供の頃に目にしていた40歳や50歳のイメージを覚えていますか?
自分もそうなるなんて考えられず、それが70歳や80歳となれば尚更。
でも今はどうでしょう、「年をとっても元気」な人が増えたように感じます。
医学が発達し、実際に平均寿命は延びています。

◆それでも高齢、特に80代以降の老いは避けられません。
いくら医学が進歩したとはいえ一定の年齢を過ぎると新しい細胞はつくられず、脳の老化を
止めたり再生したりできません。
体は健康でも脳から老いていくのです。
自覚症状はなくても、85歳以降は“誰でも”脳にアルツハイマーの傾向が出るそうです。

◆この本はタイトルにもある通り、70歳(70代)が健康寿命のカギだと訴えます。
70代までは老いと戦う時期、80代以降は老いを受け入れる時期。
そして70代までにどのくらい老いと戦ったかで80代以降の過ごし方は大きく変わるのだと。
具体的に、70代で重要なこととして「脳機能」と「運動機能」を落とさないように使い続け
ることを提案しています。
60代まで「特に何もしなくても健康は維持できている」状態が、70代になると「ちょっとの
ブランクが衰えに直結する」・・・コロナ禍を経てギクリとする話です。

◆著者は、脳機能と運動機能を落とさないように活動し続けるためには「意欲の低下が大敵」
だと言います。
意欲には前頭葉と男性ホルモンが関係しており、70代になると前頭葉は委縮し男性ホルモン
は低下するのだと、そして意欲が減退しやすくなるのだそうです。
70代はセロトニンが減少して不安を感じやすくなり、うつ病も増えるとか。

◆ではどうすれば良いのか。
70代以降を元気に過ごすためのアクションとして、次のことが書かれています。
・仕事をやめないこと
・転倒しないように気を付けること
・肉を食べてダイエットを避けること
・陽の光を浴びること
・変化を取り入れること
要は仕事を含めて、それまで楽しんでいた(続けていた)あらゆるものから“引退しない”
ことが大切。

◆もう一つ、個人的に納得したのは「免疫力の重要性」に関する記述です。
免疫力は病気から身を守るための体の防御システムですが、70歳を過ぎると20代と比べて
約20?30%まで低下するようです。
では免疫力の低下を防ぐにはどうすれば良いのか、方法につき次のことが書かれています。
・適度な運動をすること
・ビタミンCやEを積極的に摂取すること
・ストレスを貯めない生活を心がけること

◆免疫力に関して著者は、気にするべきは「健康よりも免疫力」だと言います。
血圧や尿酸値を気にするのも良いが、それよりも免疫力があるかどうか。
とにかく健康を維持するためには免疫力を高めることが重要。
そのために食事制限に過敏にならず、食べたいものを食べることも免疫機能を高めるのだと。

◆街へ出て、陽の光を浴びて、好きなものを食べて、やりたいことをやる
◆しっかり意識的に運動する(走る!)
単純ですが、そう受け止めました。

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この書籍では、ある高齢者の免許返納に関する調査結果に関しても紹介されています。
愛知県で65歳以上の認知症の傾向が認められない男女2,800人を対象として、
①免許を返納して運転を諦めた
②免許を返納せず運転を続けた
という2つのグループを比較した調査です。
それぞれの6年後を比較した結果が発表されており、②のグループに比べて①のグループは
要介護度進行リスクが2倍近くあったとのこと。
あくまで一つの実験・調査結果ではありますが、言わんとするところは分かりますね。

原田からアナウンスがありましたが、来週は(来月6日まで)メルマガはお休みです。
お仕事の方も多いとは思いますが、気分だけでもステキなGWをお過ごしください!