[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2745]

買い物難民の現状

みなさん、おはようございます。
金曜日のメルマガ担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

先日、農林水産省(農林水産政策研究所)が公表した「買い物難民」に関する統計によると、
全国で買い物難民の数が初めて900万人を突破したのだと。
「車が無いと何もできない地域は多いよなぁ」とも思いますが、実はこの数字の背後にある
のは「人口の多い都市部で買い物難民が増えている」という事実です。
都市部なんてコンビニも含めて店舗は沢山あるのに??

というわけで本日のメルマガです。
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■■買い物難民の現状
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◆前段で述べた、買い物難民の数が900万人を突破したという情報について。
内訳をみてみると高齢者人口に占める割合は25.6%、実に高齢者の4人に1人が買い物難民
だと言います。
統計の内容を読み解いてみると、その原因の一端が見えてきます。

◆その一つは、買い物難民全体の60%超を占めているのが75歳以上の高齢者だということ。
70代後半以降を考えてみると、
・現役時代のような収入を得られなくなる
・マイカーの所持が困難となる
・運動機能の低下で外出そのものも難しくなる
・認知症当事者になる人が増えてくる
といった特徴が出はじめます。
買物そのものが身近ではなくなりますね。
また加齢に伴う制約だけでなく、昔に比べて独居世帯が多くなったことも問題です。
多世代同居が一般的だった時代には、高齢者は食料品・日用品の購入を家族に委ねることが
できました。
ところが独居または高齢夫婦世帯となると、70代後半や80代になっても自分自身で買い物に
行かざるを得ないのです。
行けない場合、買い物をお願いする相手はヘルパーや民間サービスに代わります。

◆日本の高齢化スピードは加速しており、75歳以上どころか80歳以上が増え続けています。
総務省のデータ(2023年9月15日現在)によれば、80歳以上人口は全国民の約10%に当たる
1,259万人であり、それが2035年には1,607万人にまで膨らむといいます。
人生100年と言われる時代となり、80歳を超えてもまだまだ人生は続きます。
80代以上ともなれば配偶者を亡くす人は増えるでしょうし、また若い頃からシングルのまま
高齢期を迎える人も少なくないでしょう。
両方の要因が相まって、統計では独居高齢者が増え続ける見通しとなっています。

◆もう一つ、意外な事実として買い物難民が大都市に多いことも見逃せません。
一般的に買い物難民といえば、交通が不便な「過疎地の課題」という印象があります。
これを裏付けるように都道府県の高齢者に占める買い物難民の割合を見てみると、離島が多い
長崎県の41.0%を筆頭に、青森県37.1%、鹿児島県34.0%などが続きます。
でもこれは割合の話であり、「実数」で比較すると結果は全く異なります。
実数で最多は神奈川県の60万8000人で、続いて大阪府53万5000人、東京都53万1000人、
愛知県50万人など三大都市圏に位置する都府県が並びます。
買い物難民の45.8%は三大都市圏、とりわけ首都圏に集中しており、買い物難民の5人に1人
以上に当たる203万7000人が首都圏に住んでいることになります。

◆一番の理由は単純な話ですが、首都圏に高齢者が集中している、ということでしょう。
高齢者の絶対数が多ければ、比例して買い物難民該当者も多くなります。
ただ、これからも都市型買い物難民は増え続けると予想されており、決して放置できること
ではありません。
買い物難民だけでなく、私たちはこれから都市部の高齢化という課題にも直面していきます。

◆超高齢化社会における街づくりは、都市部・地方部それぞれに大きな課題です。
高齢者の健康問題、住宅の問題、交通の問題、介護を含めたサービスの問題、など取り組む
べきことは多々あります。
ちょうど最近、国内の一部地域でライドシェアが解禁されたとのニュースがありました。
購入方法や商品の配送方法において多種多様なサービスが登場していますし、街の持続可能
性を高めるべく他にも規制緩和や新サービスリリースは進むものと思います。
新しいサービスの登場が楽しみな一方で、どうもサービスばかりが話題となり、そもそもの
健康維持や予防への関心が(あまり)高まらないことに一抹の不安を覚えますが。。

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新年度になり各省庁から街づくり(スマートシティ)に関する各種補助金が発表されました。
作業量が膨大なことからいつもエントリーするのは大企業が中心ですが、福祉事業者としても
発言の場や機会は持ちたいものです。
他でもない、仕事に限らずとも自分たちの問題ですから。

今週もお疲れ様でした。
ステキな週末をお過ごしください!