[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2635]

旧弊の打破(安芸高田市長の挑戦)

みなさん、おはようございます。
毎週金曜日の担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

以前から話題になっている広島県の安芸高田市における市長と議員、そして市長とメディア
とのやりとり。
YouTubeに多数アップされており、目にされた方も多いのではないでしょうか。
理論整然とブレない信念をもって意見を述べる市長に対し、議員やメディアは思考停止し、
上手く意見することができません。
これを“勧善懲悪ストーリー”として観ることもできますが、続けて視聴するうちに、傍観
者として笑っていられないという感情になります。
議員やメディアを向いて発する言葉は、そのまま私たちに対するメッセージなのだと。

それでは本日のメルマガです!

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■■旧弊の打破(安芸高田市長の挑戦)
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◆安芸高田市の様子について、これまでニュース等で概要は知りながら、その実情まで知る
ことはありませんでした。
たまたまYouTubeのおすすめに出てきたのを観て以降、関連動画を一気に観尽くしました。
そして観入り、魅入りました。
もし観ていない(知らない)方がいらっしゃれば、是非とも視聴していただきたいです。

◆最初のうちは旧態然とした議会・市運営の現場に若き改革者が挑む痛快ストーリーとして。
次第に、市区町村や議会の仕組みを知り、そして民主主義について知る最高の教科書として。
最近は、私たち市民・住民の責任(無責任)が招いた現実を突きつけるメッセージとして。
その捉え方が変わりつつあります。

◆議会における市長と議員とのやりとりを例に挙げると、市長は一貫として、市が置かれた
厳しい現実から目を背けることなく、希望ある未来のゴールに向けて必要な改革を迫ります。
なぜ必要なのかについて執行部とともに丁寧に説明しますが、中には出血(住民の不利益)
を伴なうこともあります。
全ては次世代のため持続可能な市の基盤を作り上げるためであり、それを断行してこなかっ
た過去の市運営を厳しく非難し、そして現在進行する改革に“信念や根拠なく”“真剣に考え
ることなく”“保身のために”邪魔をする議員を一刀両断します。
議会の様子はYouTubeで放映され、また多くの人がまとめ動画などで拡散しています。

◆先述の通り、最初は“vs老害の痛快ストーリー”といった軽い気持ちで視聴しました。
YouTubeのコメント欄も「市長が正しい」「○○議員は老害だ」「スッキリする」「さすがに
ちょっとやりすぎではないか」など様々な素直な意見が多数書き込まれています。
でも、その大半はあくまで傍観者としての感想。
「安芸高田市に住む住民はどう思っているのだろう」「自分が安芸高田市に住んでいたらどう
感じるだろう」
そんな当事者的な意識をもって視聴すると、その観方は一変します。
『市区町村の在り方を考え、そして選択するのは私たち自身なんだ!』
『自分は民主主義の何たるかを理解しないまま、無責任に過ごしているのではないか!』
民主主義とは、私たち(住民)自身が政治に参加し、自分たちの生活をより良くするための
仕組みのことです。
権利を主張する(権利に賛同する)ことはあっても、積極的に義務を果たし、また責任に向
き合ったりしているでしょうか。

◆安芸高田市議会でのやりとりにおいて、現状を変えようとする提言に対して議員側からは
「住民・住民団体に丁寧に説明したのか」「住民みんなの賛同は得られているのか」「自分
(議員)のもとには反対の声が届いている」「もっと意見を聞く場を設けるべきだ」など声
があがるシーンが度々登場します。
それに対して市長・執行部側は言います。
「これまでに複数回にわたり住民・住民団体には説明を行っている」
「市のホームページにも詳しく掲載している」
「集会も必要に応じて複数回行い、参加できない人のために議事録も配布している」
「全員が賛成でないことは承知しているが、必要だと思う根拠と代替案を示し、理解を得る
よう努めている」
また市長は議員に対して言い放ちます。
「財政をはじめ市の存続が危険水域にあるなか、例え一部の方に不利益になる事項であって
も理解を求めなければいけないことはある」
「それでも前例や慣習にこだわり、保身に走り、そして市長や執行部の揚げ足取りばかり」
「すべての人が賛成することなんてない、それでも市の未来のため意思決定して歩みを進め
ることは市長・執行部、そして議員の務めだ」
「議員が議員としての役割や責任を理解せず、勉強もせず、全く仕事をしていないことにこ
そ大きな問題がある」
「恥を知れ、恥を と言われても仕方のない状況にある」
そして
「いくら住民総会を開いても、また議事録を配布しても、参加や意見を述べるのは住民個人
の責任・判断である!」

◆たびたび投票率の低さが指摘されますが、選挙への参加は義務ではありません。
それは私たちの権利であり、そして責任です。
私たちの政治への関心と意識の低さは、そのまま自ら行動しないという問題に繋がります。
それは“公的責任の放棄”と言えます。
安芸高田市の現状は、そして悪しきものとして言われることの多い一部議員の存在は、これ
まで住民自らが選択し、創り上げてきた市政の姿だとも言えます。
そして、それは安芸高田市だけのことではありません。
私たちが住む市区町村、そして国全体にも言えることです。

◆情報の民主化が進み、あらゆる情報が瞬時に入手できる時代です。
それに加えて行政の周知もあり、国や地域で進められようとすることを「全く知らない」こ
とはほぼ無いはず。
もし“無い”と感じるならば、それは知ろうとしていないから。
または目や耳に入っても、それを流してしまっているから。
そして決定してから、それが自分に不利益に働くという事実を知ってから急に不満や反対論
に同調し、決定の先延ばしや廃止、また補償を求めだす。
そんなことの繰り返しのような気がします。
偉そうに言いますが、私も反省すること多々です。

◆この問題は誰かが正解を述べるようなことではなく、自信で気づき、そして行動に繋げる
ことが必要だと思います。
その意味で、安芸高田市長の言動は大きな一石を投じてくれています。
本日のタイトル『旧弊の打破』とは、古くからある悪しき慣習を改めること。
安芸高田市の石丸市長も口にされています。
自分に向けられた強烈なメッセージだと思い、これからも注目し、そして自身の言動に繋げ
ていきたいと思います。

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余談かつ話が変わりますが、インボイス制度を巡る混乱にも思うことがあります。
今になって反対を主張し、デモを起こし、それをメディアが被害者のように取り上げる。
もちろん不利益を被る人もいるのだと思います。
でも、もう3年も前から言われ続け、補助金制度が作られ、時限措置も設けられています。
そもそも反対する人は納税するのに何か不都合があるのか?と勘ぐってしまいます。
面倒なのは嫌ですけどね。

みなさん今週もお疲れさまでした。
素敵な週末をお過ごしください!