[ケアビジネスSHINKA論 Vol.2607]

ファクトフルネス

みなさん、おはようございます。
毎週金曜日の担当、ケアビジネスパートナーズの尾添です。

『ファクトフルネス』という本をご存じでしょうか?
2019年に出版され、日本を含め世界中でベストセラーになった本です。
バラク・オバマやビル・ゲイツが「世界の教養書」と絶賛したことでも有名になりました。
以前に読んだこの本のことを久しぶりに思い出したのは・・・

それでは本日のメルマガです!

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■■ファクトフルネス
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◆『ファクトフルネス』
何について書かれた本かと言うと「思い込みや固定概念を捨てろ」というもの。
(尾添の解釈です)
いかに私たちが日々“自分勝手な思い込み”で世界を見ているのかを指摘し、そしてデータに
基づいた客観的事実を見ることの大切さを説いています。
ある問題を目にした時、私たち人間はよりドラマチックな答えを選ぶ傾向にあると著者は指摘
しており、その時に我々が抱いてしまう10項目の“思い込み”が紹介されています。
一例を紹介すると、
○ネガティブ本能
人は、物事のポジティブな面より、ネガティブな面に着目しやすい。
○過大視本能
人は、特定の数字だけに着目して、それがとても重要な問題であるかのように捉えてしまう。
○犯人捜し本能
人間には犯人捜し本能があり、誰かを見せしめにしてその責任を負わせたがる。

◆なぜ『ファクトフルネス』を思い出したのかと言えば、連日の福島原発の処理水放出をめぐ
るメディア報道がキッカケです。
世の中に絶対は無いですし、良し悪しの判断は単純なものではなく難しいもの。
それでも、あまりに事実・現実(ファクト)を無視したようなニュースが多く、ストレスを感
じています。
なぜか国内にとどまらず、国と国との問題にまで発展し、当事者ではない方々まで誹謗中傷や
被害にあっています。

◆私たちが物事を判断する時、まずは情報収集が必要となり、その主な情報源がTVやネット
などメディアです。
メディアの役割は「客観的事実を伝えること」、そう多くのメディアは主張しています。
今回の福島原発のニュースではどうでしょうか。
目にするのは、
・丁寧に図解された画を使って説明される海洋放出の仕組みという事実
・その海洋放出に反対して他国が過剰な言動を続けている事実
・国内でも一部議員や芸能人が反対意見を超えて国を激しく非難しているという事実
・ヒートアップした人が無関係の人をSNSや電話などで攻撃しているという事実
・そうした動きに対して政府が遺憾の意を表明しているという事実
といったところです。

◆日本が福島原発において選択し実行したことの真実・事実について取り上げるニュースが
極端に少ないような気がします。
中には社説で「十分な説明義務を怠っている」と政府を批判する新聞社もあります。
決して間違っていないだろうと感じる一方、我々国民に対して説明するのはメディアの大切な
役割なのでは・・・とも思います。

◆海洋放出すること自体は、量の多少に関わらず、善か悪かの二択で問われれば悪でしょう。
それを否定するものではありません。
専門家ではない私が、専門家の話を調べてたどり着いた事実(ファクト)は以下の通りです。

◆海洋放出によるトリチウム放出量について
福島第一(日本) 22兆ベクレル/年
古里原発(韓国) 49兆ベクレル/年
明徳原発(中国) 102兆ベクレル/年
※上記以外の他国には中国の10倍を超える排出を行ってる原発もあります。

◆福島原発の海洋放出量の決定について
人間が1年間に被爆しても問題ないとされる量は、毎日2リットルの水を飲むと想定すると
1ミリシーベルト/年以内。
そうなると海洋放出の際に6万ベクレル/リットルが上限。
それを福島原発の規模にあわせて計算すると年間22兆ベクレル。
22兆ベクレルは結果ではなく、事前の想定から逆算により算出・コントロールされた数字。
※IAEAの基準を真面目に守っています。

◆事実を知ること、そして冷静に判断すること。
今回の件に限らず、日ごろから意識していきたいことです。
日頃からフェイクを含めて大量の情報に囲まれる時代。
常に一時停止ボタンを持ちながら過ごしたいですね。

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「処理水に関する説明が不足している」との批判について。
関係省庁のHPをはじめ、ネット検索すれば様々な情報が簡単に出てきます。
苦しむ人たちを何とかしたいと思うのなら、まず自分自身がファクトを知る努力からだと
思います。
それを怠ることが、結局は回りまわって他者を苦しめることにもなるのですから。

みなさん今週もお疲れさまでした。
素敵な週末をお過ごしください!!