[ケアビジネスSHINKA論 Vol.947]

人事制度に対する雑感(その2)。

おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ の
原田です。

“住民が健やかで幸せに暮らせる地域社会を目指す街”

を意味する

“健幸都市”

の連合会が20日に発足したようですね。
(その名も「日本健幸都市連合」)

既におよそ130の区市町村が参加の意思を表明して
いるとのこと。

医療・介護費のさらなる増大への危機感が背景で、

フレイル対策や介護予防、

データの利活用、食生活の改善などを「重点事項」
として掲げているようです。

是非、本会が

“主体性を持った集まり”

として機能していくことを願うばかりです。
(期待を込めて^^)

では、本日のメルマガに入らせていただきます。

今日の視点──────────────────────────────
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■■人事制度に対する雑感(その2)。
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●昨日、「人事制度に対する雑感」というタイトルのもと、「“「評価”“ランク付け”に主眼を置くか、“人財の成長”に主眼を置くかによって、人事制度の中身や運用方法は大きく変わってくる」という内容をお伝えさせていただいたところ、「“評価”や“ランク付け”に主眼が置かれた人事制度、とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか?」というご質問を東北地区の介護経営者からいただきました。そこで、「例えば、、、」という例と共に、以前、私が出会った事業者様の例をお伝えしたところ、「なるほど。。。。それに近い発想、確かにうちの会社にも在ります。。。」という、とても正直なご回答をいただきました^^今日は、その方からいただいたご質問に対し、私が代表例としてお応えした内容を皆様にもご紹介させていただきます。“企業内平均”という評価の考え方についてです。

●「社内の能力評価を行う際、例えば、“S・A・B・C・D”という5段階を想定するならば、先ず始めに“B”評価であろうと思われる社員を決めなさい。その人物に対する評価を“平均値”と見なし、そこを基準に、上ならば“S”“A”、下ならば“C”“D”を付ければバランスがとれる」実際に過去、某社会福祉法人の事務長がそのような指導を行っていた場面に立ち会ったことがあります。驚いた私はつい、口を挟んだのですが、事務長曰く、「過去からこの考え方で評価を行ってきており、職員の中での納得感もある」との事でした。

●この発想のどこに問題が潜んでいるのか、勘の鋭い皆様なら既にお分かりかと思います。彼らが人事評価を行う目的は、当然ながら“人財育成”です。しかしながら、運用を行う段になった段階で、目的はいつの間にか“ランク付け”に変容してしまっている。その考え方に対し、「事務長は全員の前で“全員がS評価を取れるように頑張ってほしい”と年始の段階でおっしゃっているんですよね。何だか矛盾していませんか?」と異を唱えたところ、次のような意見が返ってきたことをはっきりと覚えています。「確かに。でも、現実として全員が“S”評価になれば、全員の給与を大幅に上げることになる。そんなことしたら、会社が持ちませんよ」・・・・

●この発想、「誰が未来の自社を背負う人財として相応しいか」を見極める“選抜”を目的とした人事制度であれば“的確”と言えるのかもしれません。確かに年間数十人、或いは数百人の新卒者が入社してくる、大企業には必要な発想なのかもしれませんが(未来を背負う人財を選抜するのは、企業を存続・発展させ続ける上では確かに重要ですものね)、果たしてその発想が自社に当てはまるのか?と言われると、一考の余地がある場合が多いのではないでしょうか。

●ちなみに、念のために申し上げておきますが、私は“相対評価”を100%否定している訳ではありませんし、これはこれで必要な場合も多々あると理解しています。しかし、それ“のみ”で評価する、という発想には、2つの問題が発生する可能性が高い、と私は思っています。先ず一つ目の問題点は、特に中堅規模~零細規模の、ましてや、人財育成を促進しようとしている企業にはそもそも考え方としてミスマッチである、ということ。

●次に、これはあくまでも経験則上の仮説なのですが、そのような評価を継続している企業に限って、往々にして“評価”が形骸化してしまっており、“顧客視点”が抜け落ちがちになる、というのが二つ目の問題点です(幾ら社内で優秀だとしても、顧客から選ばれなければ無意味ですものね)。最後に、事務長の「そんなことをしたら、会社が持たない」というのは、連動させる賃金制度自体にそもそも欠陥がある、と私は思います(早急に変革すべきですよね)。

●処遇改善加算の新設含め、ますます“人事評価”“昇給制度(賃金制度)”に対する経営者の関心が高まっています。しかし、「とりあえず入れよう」「とりあえずつくろう」という発想で策定・運用してしまうと、組織を伸ばすどころか、その真逆の効果を及ぼしかねないのが人事制度の怖いところです。

●昨日も触れましたが、あらためての確認です。皆様の社内に存在する人事制度は、本当に「人財の成長」を後押し出来ている内容、運用になっているでしょうか?導入前と導入後の現在で、明らかに「人財の成長」が目に見えて促進されているでしょうか?もし、大きく首を縦に振れない状況にあるとするならば、“内容”“運用”いずれか(或いは両方)に欠陥があるのかもしれません。もし、“ドキッ”とした方がいらっしゃれば、一度どこに課題があるのか、しっかりと分析してみる必要があるかもしれませんね。

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以上、何かのお役に立てれば幸いです。

今日は、仙台にて

“東北ケアビジネス研究会”

を実施。

終了後、明日に備え、東京へ戻ります。

皆さんは今日、どんな1日を過ごされるのでしょうか?

では、今日も互いに頑張ってまいりましょう!

今朝もお付き合いいただき、ありがとうございました。