[ケアビジネスSHINKA論 Vol.843]

「 介護サービス施設・事業所調査の概況」から

おはようございます、

(株)ケアビジネスパートナーズ の鈴木です。
今週もよろしくお願い致します。

社会福祉法人の制度対応についてやり取りをする機会が増えています。評議員をどうすべきか、役員報酬基準などの実務的な課題、更には地域共生社会とのあり方、地域貢献のあり方など論点は少なくありません。

その一方でまだこれから重要な通知発令が予定されているとのことですから、ケアビジネスパートナーズとして、行政情報、市場ニュースとしてしっかり追いかけて、法人さんとともに万全の準備をしていきたいと感じています。

では、本日のメルマガの中身に入らせていただきます。

今日の視点──────────────────────────────
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■■「介護サービス施設・事業所調査の概況」から
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●厚生労働省は14日「平成27年介護サービス施設・事業所調査の概況」を発表しました。この調査は、介護サービスの提供体制やその内容を把握し、基盤整備ための資料などを狙いとして毎年実施されているものです。中身は、施設・事業所数などの「基本票編」とより細かい施設・事業所の状況、居宅サービス事業所等、訪問介護利用者の状況、介護保険施設の状況、従事者の状況からなる「詳細票編」とでまとめられています。

●「施設・事業所の状況」から対前年増減率を見ますと、大きく増加しているのが「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(30.8%)、複合型サービス(52.4%)であることがわかります。もちろん、これは「率」の数字ですから、前年の数字が小さければ率への跳ね返りは大きくなるので、増加実数という視点でみればまた違う解釈もあるでしょう。しかしながら、順調にこれらサービスが浸透している実態を表していることには変わらず、この調査票で著しい増加が明確に表現されている、つまり急ピッチで整備が進んでいるという事実はみてとれます。

●また、この調査で着目したいのは「訪問介護」に対する調査結果です。ここで「重度者の訪問介護は訪問時間が短く、サービス内容は排泄、食事介助など多い。一方、要介護1・2の軽度者は掃除、洗濯、一般的な調理・配膳の利用が多い」となっています。

●これまでも財務省の「財政制度分科会」などでも論点になっていますが、限られた社会保障財源を効率的に使うという観点からみた時に、掃除や一般的な調理・配膳に対する向き合い方はこれでいいのかという議論は重要な論点になりそうです。実際にここで調査項目としてとり上げられていることは、報酬改定へ少なからず影響をもたらすと思わざるを得ません。

●事業者として、仮に既存サービス見直しが必要な場合があるとすれば、その背景に「介護保険サービス」による事業モデルが厳しくなるという実態も想定されます。それはより根本的な問題として提供価値そのものをどう定義づけるかということも考える必要があるのでしょう。その際、「保険」「保険外」といったいわば「事業者目線(供給側目線)」からの分類思考を意識しすぎないことも重要な気がします。(結果的に「保険」「保険外」には分類されますが。)あくまでも「利用者目線(需要者目線)」にたった上で、「自社の理念の上でサービス体系をどう構築するか」を第一義に捉え、それに基づいた経営方針を再構築していくことが求められてくるのではないかと感じます。

(参考)平成27年介護サービス施設・事業所調査の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service15/dl/gaikyo.pdf

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以上、何かのお役に立てれば幸いです。

又、ご意見等もお聞かせ下さい。
今朝はお付き合いいただき、ありがとうございました。